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相続税の配偶者控除|適用要件や具体的な計算方法は?

相続税における配偶者控除には、相続人である配偶者の生活を守る役割があります。

本記事では、相続税の配偶者控除が適用される要件や、具体的な計算方法について解説します。

相続税の配偶者の税額軽減制度(配偶者控除制度)とは

配偶者の税額軽減制度は、亡くなった方(被相続人)の配偶者が遺産分割や遺贈を通じて実際に受け取った遺産の合計額が、次のいずれか高い方の金額以内であれば相続税がかからないという仕組みです。

 

  • 1億6千万円
  • 配偶者の法定相続分に相当する金額

 

配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産に基づいて計算されます。

したがって、相続税の申告期限までに分割されなかった財産は、この税額軽減の対象にはなりません。

相続税申告期限は、相続が発生した次の日から10か月以内です。

ただし、相続税の申告書や更正の請求書に申告期限後3年以内の分割見込書を添付し、申告期限までに分割されなかった財産が申告期限から3年以内に分割された場合は、税額軽減の対象になります。

また、相続税の申告期限から3年を過ぎても分割できないやむを得ない理由があり、税務署長の承認を受けた場合は、理由が解消された日から4か月以内に分割すれば、税額軽減の対象になります。

配偶者控除の具体的な計算手順

配偶者控除を計算するためには、次の5つの手順で行います。

 

  1. 遺産の総額を法定相続分に基づいて分配する
  2. 各法定相続人が受け取る遺産の額に応じて、税率や控除額を適用し、一時的な相続税額を算出する
  3. すべての一時的な相続税額を合計し、相続税の総額を求める
  4. 実際の相続割合に基づいて税額を分割する
  5. 各相続人に対して税額控除を適用する

具体例

配偶者控除は、相続によって配偶者が取得する財産額が法定相続分や1億6千万円の基準を満たしているかどうかで適用範囲が異なります。

具体例を参考にして、配偶者控除の仕組みを確認してみましょう。

配偶者の正味遺産額が1.6億円を超えていないケース

配偶者が受け取る正味遺産額が法定相続分を超えている場合でも、1.6億円を超えなければ非課税です。

つまり、正味遺産額が1.6億円以内であれば、法定相続分がいくらかに関わらず相続税は課税されません。

配偶者の正味遺産額が1.6億円を超えるが法定相続分を超えていないケース

法定相続分が1.6億円以上になる場合で、配偶者の正味遺産額が1.6億円を超えるが、法定相続分を超えていない場合、相続税は非課税になります。

 

たとえば、遺産総額が4億円の場合について考えてみましょう。

遺産の総額が4億円の場合、配偶者の法定相続分は2億円です。

そのため、配偶者が1.6億円を超える遺産を受け取ったとしても、法定相続分の2億円を下回るのであれば、相続税は非課税になります。

1.6億円も法定相続分も超えているケース

1.6億円も法定相続分も超えている場合、​​配偶者控除によって控除された金額を超えた分に相続税がかかります。

たとえば、遺産総額が10億円で配偶者が8億円を取得した場合の相続税について考えてみましょう。

遺産総額が10億円の場合、配偶者の法定相続分は5億円です。

通常であれば、法定相続分を超えた3億円に対して、相続税がかかると考えたいところですが、相続税には基礎控除額があるため、その分を取得割合に応じて差し引く必要があります。

10億円から基礎控除額を引き、その後、相続する割合に応じた課税対象額を計算します。

次に、配偶者控除分を差し引き、最終的な配偶者の課税対象金額を算出し、それに対応した相続税率をかけて、支払う必要のある相続税を計算することになります。

まとめ

今回は相続税の配偶者控除が適用される要件や具体的な計算方法について解説しました。

遺産の総額や基礎控除額を計算しなければならないため、複雑で負担に感じる場合は税理士に相談することをおすすめします。

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