相続税対策として養子縁組を行うメリットとデメリット
相続税を少しでも抑えたいと考えたとき、検討される方法の1つが「養子縁組」です。
養子を迎えることで法定相続人の数が増えるため、相続税対策として一定の効果が見込めます。
しかし一方で、養子縁組は単なる税負担軽減の手段ではなく、法律上の親子関係を新たに生じさせる重要な制度です。
今回は、相続税対策として養子縁組を行うメリットとデメリットを解説いたします。
相続税対策として養子縁組を行うメリット
主なメリットは、以下のとおりです。
- 基礎控除額が増える
- 生命保険金や退職金の非課税枠が広がる
- 税率が下がる場合がある
それぞれ確認していきましょう。
基礎控除額が増える
養子縁組によって法定相続人が増えると、相続税の基礎控除額が大きくなります。
たとえば相続人が3人から4人になれば、基礎控除は600万円増加し、その分課税対象額が減るため、相続税の軽減につながります。
生命保険金や退職金の非課税枠が広がる
生命保険金や死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
養子を迎えることで非課税枠が拡大し、より多くの財産を非課税で受け取れる可能性があります。
税率が下がる場合がある
相続税は、課税対象となる遺産総額を相続人ごとに按分し、その取得金額に応じて税率が適用される「累進課税方式」となっています。
1人あたりの取得額が多ければ税率も高くなり、逆に少なければ低い税率が適用される仕組みです。
養子縁組によって相続人が増えると、同じ遺産総額でも1人あたりの取り分が減るため、結果として適用される税率が下がる可能性があります。
相続税対策として養子縁組を行うデメリット・注意点
一方で、養子縁組には以下のようなデメリット・注意点もあります。
法律上の親子関係が発生する
養子縁組は単なる税務対策ではなく、法律上の親子関係を生じさせる行為です。
そのため、扶養義務や遺留分など、実子と同等の権利・義務が新たに発生します。
こうした点を理解せずに養子縁組を行うと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
税務上の否認リスクがある
相続税対策だけを目的とした実態の伴わない養子縁組は、税務署から否認される可能性があります。
その場合、想定していた節税効果は得られません。
まとめ
養子縁組は、基礎控除額や非課税枠を広げるなどのメリットを持つ一方で、相続人間のトラブルや税務上のリスクなどのデメリット・注意点もあります。
相続税対策として養子縁組を検討する際は、節税効果だけでなく、家族関係への影響や将来的なトラブル防止まで考慮し、慎重に判断することが大切です。
相続税対策に養子縁組を取り入れるかどうか迷う場合は、税理士に相談し、税務的な観点から最適な方法を検討することをおすすめします。
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